これからの日本人に必要なことのすべて
▲ページの先頭に戻る
▲ページの先頭に戻る
暗黒の時代になればなるほど、リーダーシップ論がメディアという空中を飛び交う。
西の方でも東の方でも、怪獣が大きな声で火を噴いている毎日。
裏返せば、これほどの暗闇は、さすがの日本人も経験したことがなかった、
ということでもあります。
田中角栄元首相、小泉元首相、古くは平清盛、後醍醐天皇、足利義満、
織田信長、徳川家康などなど。混乱の時代には強いリーダーが出現する。
性格の違いはあっても、民衆が引きずられるような個性の持ち主でした。
しかし、それらの傑出したリーダーたちでさえ、時と共に民衆は見捨てていく。
あの熱狂は幻想かとしか思えないほどに。
民衆が洗脳されているのか、リーダーが踊らされているのか。
それは暗黒の綱引きのようでもあります。
そのリーダーたちの個性を見てみると、
非常識をものともせずに疾走するタイプか、権力の裏側で暗躍するタイプ。
よくもまあ、この対照的なリーダーの元で、日本人は生きてきたものです。
とはいえ、そこまで世の中を正しく壊すリーダーかどうかはわかりませんが。
ここ20年くらい、特徴的なのはグローバル型リーダー。
何でもかんでも、あちらがお好きなようでトップダウンと言えばトップダウン。
異文化交流型と言えば、そうかも知れないと。
結局は、人任せで自分たちの流儀は現れてこない。
何も変わっていないというのが実情でしょう。
そういう風潮なので、みんなが右往左往。もの申す人が激減してしまいました。
とりあえず、主張の強い人について行けば間違いないだろう。
それも、世の中の趨勢を見ながら。なんとも情けなや、ですな。
では、日本には日本人らしいリーダーは生まれないのか。
暗澹たる気持ちになりかけていたときに、見た映画「究竟の地」の中に存在していました。
そのトップに立つ人は「庭元」と呼ばれ、数ある鬼剣舞の中でも元祖と言われる
岩崎鬼剣舞を長々と守ってきた家元のような存在。
「師匠」、演奏パートの「おかど」で構成されています。
鬼剣舞について少々。
異形の面をつけて勇壮に舞うので、エンターテイメントとしても
伝統芸能の中では特筆もの。剣と扇を自在に操りながら、
地面を踏みつけて悪霊を払う呪術的な鎮魂。
また、念仏を唱え衆生を救う信仰的な要素が共存する。
だからこそ、岩崎の地で1300年もの間守られてきたのでしょう。
舞は八人ひと組が基本。演目によっては、二人、四人、六人なども。
また、一人加護というソロパフォーマンスも存在します。
地面を踏みしめ下半身を酷使するので、40歳を超えると現役で踊り続けるのが難しい。
それで、早く引退したり、演奏の「おかど」へ移ったりするようです。
つまり、岩崎鬼剣舞は演者の循環が自然に行われていました。
実はこれこそがリーダーシップの原点なのです。
いまでは、それらの芸能は年配者で占められています。
若い世代のなり手のないことも大きな理由でしょうが、
組織の構造自体に問題があるとしか思えません。
そういう観点でいまの多くの企業を見てみると、全く同じであることがわかります。
年配層がリタイヤせずに、いつまでも居座っている。これでは、
若者の就職難は当然のこと。活躍する場もありません。
また、何の手も打とうとせず、今の若者は意欲がないなどとうそぶくのは、
社会の循環という摂理をまったく理解していないのでしょう。
疑いの余地がありません。
映画の中のある師匠が語った言葉。
「踊りに正解はない。年功的に伸びていけばいい」。
つまり、若者は未熟だから駄目なのではなく、20歳には20歳の踊り。
35歳には35歳の踊りがあるということを認めているのです。
一人ひとりの踊りを温かい目で容認している。
ユニークなのは、頻繁な集会。年に100回を超える公演終了後に、
練習所である会館に必ず集まる。反省会ならぬ、宴会。
老若が膝をつき合わせて、今日の踊りはああでもない、こうでもないと侃々諤々。
ひとつの型を押しつけるのではなく、長い年月をかけて鬼剣舞を若者の血肉にしていくのです。
この構造が、鬼剣舞の軸をぶっといものにしているのでしょう。
庭元は、自分の鬼剣舞の姿を見せるだけでいい。師匠も。
身体性を継承するという役目ですが、すべての世代を認めることで
それを成し遂げているのです。
変化を恐れがち。それが、若い世代を地域から離れさせる原因にもなっています。
成功しているのです。舞い手は、小中高学校で子どもに教える。
その子たちは、やがて次世代の舞い手に育つ。考え方が違ってもいいのです。
芸能は、古きものを大事にしながら,新しいものを取り入れていくから、生き続ける。
次の世代のことを一番先に考える。それこそが、リーダーの役割であり資質。
社会であれ、会社であれ、家庭であれ。
明日は、今日生きる者の責任だからです。
▲ページの先頭に戻る
1 2 3 4 5 6 次の3件≫
ほかに、青森県八戸市の八戸大使就任、日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー、女子美術大学非常勤講師。企業研修、各種セミナー、講演、執筆などを行っている。日経BPオンラインにて、コラム「マーケティング・ゼロ」を執筆中。
著書に『ある日、ボスがガイジンになったら!?』-英語を習うよりコミュニケーションを学べー(阪急コミュニケーションズ)。「チームキットカットの、きっと勝つマーケティング」(ダイヤモンド社)。「ブランド再生工場」(角川SSC新書)。「マーケティングはつまらない?」(日経BP社)など多数
Twitter:@sekihashi





