Hell Set @ Waimea Bay 2010.1.11 12:16pm
世界の波
ワイメアベイ/ハワイ
ダイハード/ニックノザキ
昨冬、つまり、2009/2010ノースショアウインターは、本当にビッグシーズンだったと振り返る事が出来る。
11月中から何度もベイ(ワイメア)がブロークし、12/3のエディセレモニーの時には、次のスエル、12/7、8、9のどこかでやるだろうとまで予告し、見事、12/8、歴史的なエディがオンされた。
しかし、それだけで留まる事なく、12/25のクリスマスデイには、もっと信じられない事が起こった。
朝のチェックでは、15くらいかな~と思うくらいのミディアムワイメアだったが、次のチェックに行くと、たまたま見たセットが20プラスもあった、、、
カミングアップしてるのかな~としばしチェックするも、またもマッタリ15程度だったので、ややクリスマスモードで帰宅してしまった。
午後、キョウイチ(カイシュウのパパ)から、そんなにでかくないので、カイシュウを経験がてらワイメアに連れて行きますわ~と電話がかかってきた。
オッケー、ならまたチェックがてら見に行くよ~てな調子で家を出た。
したら、ワイメアに向かう途中で、再びキョウイチから連絡があり、今度は声のトーンがさっきとは打って変わり、今、ワイメアに着いたんですけど、やばいです~突然遥か沖からセットが割れだし、沖にいたサーファー全員喰らって、ベイ一面スープだらけで、皆、板を流したり、折れたりしてのたうってます~ニックさんや、ワキタ君も喰らいました~こんなの死んじゃいますよ~と、、、
しかし、俺が現場に到着した時は、またマッタリとしたベイで、そんなこともあったのかと思わせる雰囲気だった。
道ばたで、まだ唖然状態のキョウイチやカイシュウに聞くと、入る前にもう一度チェックしようと、ショアブレイクのところから見ていたら、突然、沖に黒い筋が見えて、あれなんやろ?波か~?と思ってたら、見た事も無い位置でそのドセットが割れだし、まずはその一発目でほとんどのサーファーが喰らい、だめ押しにもっとでかいセットが続けざまにブレイクし、もう沖には誰もいてませんでした~あれって30フィート?いや40フィートくらいあったんですかね~もう、手前は地獄図で、助けられる者、自力で這い上がって来る者、ビッグレフトへ流されて行く者、、、滅茶苦茶でした~~~ニックさんやワキタ君、よく生きてたな~、、、と驚嘆の言葉をあらわにしていた。
またそんなセットが来るのかと思い、ベイのクリフでカメラを構えて待っていたが、やっぱ夕方までいたが、そんな驚異のクローズセットはとうとう来なかった。
後日、その時の様子をニックに聞くと、やはり、マッタリとしたベイで気持ち良くサーフしてたら、なんか沖に方に山の様なものが見えたので、ややアウトに向かってパドルを始めると、信じられない巨大なセットが、遥か沖で頭をもたげていた。
ニックは比較的、チャンネル寄りにいたので、猛ダッシュをかけて、なんとか一発目のセットはぎりぎり乗り越えたと言う。
が、しかし、2発目の波は、もう有り得ない遥かアウトでブレイクしてしまい、ベイは完全ノーエキジット状態、沖に逃げたサーファーのほとんどが、このマンモススープの下敷きになった。
ニックは当然、板もへし折れ、這々の態で上がってきたと言うか、よくぞ生還できたと言わざる負えない、凄まじさだったという。
この日のたった一度のドセットは、伝説となり、一説には40フィートプラスと言われ、しばし、ノースショアの中では語り草となっていた。
こんな目に会い、ワイメアガンも無くしたニックは、もうめげて、やらないのかなと思っていたら、早速、次のワイメアガンをオーダーしていた、、、恐るべし、、、。
それから年が明け、今度は1/11にワイメアがまたブロークした。
この日は朝からでかく、ブイレポートもヒュージだったので、俺は水中は諦め、ベイの反対側からのランドショットに専念した。
前回のこともあるので、全てを見逃さない様にスタンバった。
岸から撮影していると、全ての事が良く見え、今がゲッティングアウトのタイミングだとか、セットがノース寄りから来たなとか、ワ~~~クローズセット喰らっちゃうよ~~とか、水中にいると、わからないこともわかってしまい、水中に居る身になって戦慄することが多々ある。
この日はまさにヒュージデイと呼ぶにふさわしく、ベイが覚醒、錯乱していて、いつか、何か起きるんじゃないかという、激しさだった。(エディの時はもっとクリーン/ナイスって感じだった)
日本人は確か、ニック、アオヤマさん、ワキタ、シンペイ、カイシュウ、ヒロ等が入っていた。
カイシュウは、先にあがり、アオヤマさんも、一度上がりかけたが、ベイのやや中央にまで来てしまい、ライフガードに、そのまま突っ切って上がって来いというのを、一度アウトに出て、やり直せと勘違いし、再び沖にパドルバックしていった。
時刻は昼の12時16分、潮が干いていたのか、前回の様な分厚いドセットではないが、異常なまでにめくれあがるクローズセットが来襲した。
テイクオフポジションに固まっていたサーファーは皆、御覧の様にもろインパクトゾーンで、身の毛もよだつ喰らい方を強いられた。
丁度、写真中央でもろ黄色の板がリップしてるのが、ニックで、その右横のイエローボードがワキタ、手前で板を捨てて潜ろうとしているのがヒロ、アオヤマさんは、ゲッティングアウトの途中だったので、インパクト喰らいは回避し、シンペイは沖にいたのだが、奇跡的に彼と数人のサーファーだけは、喰らわずにサバイブしたという。
この一発をシークエンスで撮影するや、すぐに皆の行方を追った。
確か、ニックも、ワキタも、ヒロも黄色の板だったはずだ。
ベイの中が真っ白のスープまみれになり、板を無くしたサーファーが泳ぎ、のたうちまわっている、、、、まさに地獄の釜ゆでそのものだ。
ニック達の黄色の板は、すでにビッグレフトの方に流され、折れているボードもあった。
とにもかくにも岸に上がらなければ、まじ死んじゃう、、、
でも、怒濤のカレント、分厚いホワイトウォーターに、皆、アップアップしながら、全然進んでいない~~~
それも、一人や二人じゃない、何十人もだ。
やっとセットの嵐が終わったとはいえ、相変わらずどよめくベイには変わりはなく、岸に居る身からは、ただただ、泳げ~早く岸に辿り着け~と祈るしか無かった。
そんな時、沖の方から、ライフガードのジェットスキーが、まるで月光仮面(古いなあ、、知ってますか??)の様に颯爽と現れ、デインジャーゾーンにいる者から順番に、2~3人ずつ機敏にレスキューしていった。
ニックやヒロ、ワキタ等はかなりやばい位置に流されていたので、最初の方に助けられ、ショアブレイクまで送ってもらい、無事陸地に戻る事が出来た。
その後も、次々とジェットスキーで鮮やかにレスキューし、ちょっと前なら死人も出ていたと思われる、このシチュエーションで、あっという間にベイの中をクリアにしていった。
恐るべしライフガード魂、プロのウォーターパトロールである。
こうして、再び生還したニックは、またまたワイメアガンを失ったが、命は失わず、怪我をすることもなく、全く落ち込む様子もなく、次のガンボード探しに奔走した。
あんな地獄の体験を、ひと冬で2度もしていながら、まだワイメアに挑む、このブチ切れ度はなんなんだ??
恐るべしベシ、ダイハード、ニックちゃんの伝説がまた出来ちゃった~~
Nick Nozaki @ Waimea Bay 2009.12.3
P.S.
ニックの不死身伝説は波乗りだけではニャイ~
つい、先日、ニックちゃん、通算5人目のベイビーを授かった~
それも、ついに、待望(?)の女の子じゃ~~
見て下さい、この可愛い笑顔を、、、
まさに、ニックちゃんの笑顔そのまんまっすね~
おめでとう~
ナゴミちゃん、健やかに育って下さい~~
Nagomi Moana Nozaki